宮脇綾子 は身近なモノを対象に、布と紙で美しく親しみやすい作品を生み出しました。 アプリケ、コラージュ、手芸などに分類されてきた彼女の作品は、しかしいずれの枠にも収まりきれない豊かな世界をつくり上げています。 モティーフにしたのは野菜や魚など、主婦として毎日目にしていたもの。 それらを徹底的に観察し、時に割って断面をさらし、分解して構造を確かめる。 たゆまぬ研究の果てに生み出された作品は、造形的に優れているだけでなく、高いデザイン性と繊細な色彩感覚に支えられ、いのちの輝きを見事に表現しています。 本展では、宮脇綾子をひとりの優れた造形作家として捉え、約 150 点の作品と資料を造形的な特徴に基づいて 8章に分類・構成していきます。 美術史のことばを使って分析することで、宮脇綾子の芸術に新たを光を当てようとする試みです。 |
会期: 2025 1/25 〔土〕→ 3/16 〔日〕 展覧会は終了しました。 |
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・画像をクリックすると 開催のご挨拶 「 冨田 章(東京ステーションギャラリー館長)/ 成瀬美幸(豊田市美術館 学芸員)/ Chapter 1. 観察と写実 」 の拡大画像がご覧いただけます。 |
プレス内覧会 「生誕 120 年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」 |
2025 1_24 プレス内覧会の説明会、プレスリリース、 「生誕 120 年 宮脇綾子の芸術」 図録よりの抜粋文章です。 |
美術・美術史の視点で見直すアプリケ作家 通常個展であれば、年代順に作品を並べることが多い、またモティーフ別とか色々なやり方がある。 今回は異なり宮脇綾子の作品を造形的に分類した。 作品が色々な特徴を持っていて、それぞれ面白く、 8 つの章に分けて造形的な作品ごとに分類展示しています。 宮脇自身はアップリケ作家で創作アップリケと称していますが、調べるうちに宮脇がアプリケや手芸のカテゴリーに納まりきれないという印象が強くなりました。 本人が最初に使った、布絵がふさわしい表現かもしれません、宮脇綾子を色々な側面を持った造形作家として分析、構成した展示となりました。 宮脇綾子の作品を美術、美術史の言葉で分析しています。 (冨田館長) |
目 次 / Contents |
'2025 1_24 「生誕 120 年 宮脇綾子の芸術」 報道内覧会展示風景・ギャラリートーク、プレスリリース、図録の抜粋文でご紹介しています。 |
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【 Chapter 2. 断面と展開 Cross sections and multiple perspectives 】 |
果実や野菜などの断面は宮脇のお気に入りでした。 カボチャ、冬瓜、スイカ、タマネギ、ピーマンなど、ふたつに割られた食材は数知れません。 料理をしようと半分にした時に、その断面を美しいと感じることがよくあったようです。 また彼女は、魚や鳥などの表と裏を対として、あるいはさまざまな角度から見た姿を並べて表現することもありました。 その根底には探究心があったのでしょう。 こうした作品からは、表現する対象のすべてを知り尽くしたいという気持ちが感じられますが、それはアーティストの本能といえるかもしれません。 |
・右 No.029 《しやけ》 1973 布、糸、紐ほか/布 95.6x32.7 豊田市美術館 / ・No.022 《鴨(背)》 1953 布、紙、糸、レース、金属/布 50.2x38.7 豊田市美術館 / ・No.023 《鴨(腹)》 1953 布、紙、糸、レース、網/布 51.6x39.5 豊田市美術館 / ・No.024 《切った玉ねぎ》 1965 布、糸、レース、/布 31.5x28.5 豊田市美術館 |
・No.024 《切った玉ねぎ》 タマネギの芽が出たのを縦に切ってみて、その切り口の面白さに引かれました。 作っているうちに、内部にすき間ができて、また面白さが増し、同時にその精力にも感じ入りました |
'2025 1_24 「生誕 120 年 宮脇綾子の芸術」 報道内覧会展示風景・ギャラリートーク、プレスリリース、図録の抜粋文でご紹介しています。 |
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・画像をクリックすると 「 Chapter 6. 模様で遊ぶ/ Chapter 7. 線の効用 」 の拡大画像がご覧いただけます。 |
【 Chapter 5. 模様を活かす Utilizing patterns 】 |
宮脇が作品に用いた布にはさまざまな柄のものがありました。 伝統的な吉祥紋から、藍染の縞柄や格子柄、紅型の大胆でカラフルな文様などだけでなく、プリントされた花柄や松竹梅の文様まで、あらゆる柄や模様が宮脇の作品には使われています。 こうした模様を巧みに組み合わせて、写実的な作品を作り上げることも珍しくありませんでした。 龍の文様がオコゼの刺々しい様子を見事に表現していたり、印半纏の幾何学的な柄が竹の子の皮に見立てられていたりするのを見ると、宮脇マジックと呼びたくなります。 |
・右 No.092 《ふたり》 1979 布、糸、レース/布(暖簾) 42.0x141.4 豊田市美術館 / ・No.083 《めおと蟹》 1963 布/布 54.5x37.5 豊田市美術館 / ・No.087 《白菜》 1975 布/布 46.3x34.0 豊田市美術館 |
右・No.092 《ふたり》 ある旧家の方から江戸時代の縮緬や絞りなどをいただきました。 昔の物のよさをしみじみ感じながら作りました。/・No.087 《白菜》 日本には、四季それぞれに喜びがあります、 食べるものにも見るものにも、冬でなくては味わえないものもがあります。 |
宮脇綾子は、さまざまな模様を大根、白菜、筍などモティーフに見立てて使っている。 ・No.087 《白菜》 は、手前に白菜の白い部分があって後ろに葉っぱがある。 白菜のクシャクシャになった葉の様子が見事に表現されているが、その布は龍の柄の布である。 龍が飛んでいる様子を表わした柄の布を、彼女は白菜の模様に見立てている。 そのように布の柄を何かに見立て、模様を活かして使っているのが随所にうかがえる。 (冨田館長) |
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・左 No.149 《あんこう》 1975 布、糸ほか/布 44.6x29.8 豊田市美術館 / ・No.050 《吊った唐辛子》 1963 布、紙、紐/布 37.5x29.8 豊田市美術館 |
・No.149 《あんこう》 アンコウは、もともとグロテスクな魚ですが、形にとらわれずに、大好きなユーモアや遊びのこころで包んでいるうち、こんな姿になりました。/・No.050 《吊った唐辛子》 東北地方に旅をしたとき、秋田県のある八百屋さんで見つけたものです。 色の鮮やかさと束ね方の面白さに引かれて、さっそく買い求めました。 日常生活の中から考え出した、お百姓さんの美意識に感じ入ります。 |
【 宮脇 綾子 (1905-1995) 】 略歴 |
・1905 年 東京の田端で門脇夫婦の長女として生れる。 |
宮脇綾子は 40 歳の時、姑の残した大量の布切れを用いてアプリケを作り始めました。 それはすぐに独自の展開を遂げ、驚くべき作品が次々と生み出されます。 本展は、彼女の作品を造形的な観点から分析することで、宮脇芸術に新たな光を当てようとする試みです。 |
お問合せ:03-3212-2485 |
参考資料:「生誕 120 年 宮脇綾子の芸術」 プレス説明会、図録、Press Release.、チラシ他。 |
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